2023年7月29日、エロール・スペンス Jrとテレンス・クロフォードのウェルター級4団体統一戦が行われた。
近年これほど待ちわびられながら実現しなかった待望の対戦が遂に実現された。
世間では、やはりクロフォードの方が評価が高く、特に日本ではクロフォード勝利を予想する声が多かった。
スペンスの試合は、前戦のウガス戦を中継で観戦したが、一回り体格の大きいウガスに対しスペンスが手数、的確さ、強靱さで上回りTKO勝利したことは、スペンスの良さがよく分かる試合だった。
前半、マウスピースが外れたスペンスが油断してもろにウガスの右ストレートをくらったが、そのラウンドさえもギアを上げて打ち返す様はスペンスの強靱さが際立った。
一方、クロフォードはウェルター級に階級アップしてからKOを量産する様は恐ろしく凄みを感じる。ただ、あの強靱なスペンスに優位に勝負できても果たしてダウンやKO勝利があるかといえば疑問が残った。
結果は、クロフォードの9回TKO勝利。3回のダウンを含む大方の予想をはるかに上回るワンサイドゲームだった。
特に序盤にバランスを失う形でダウンを喫したスペンスは終始攻め焦っているように見え、冷静なクロフォードの餌食になっていた。
クロフォードが的確さや技術では、当然上回っているとしても、今回はパワーでさえもスペンスが負けていたように感じた。とにかくクロフォードが憑依しているようだった。
前戦のポーター戦で、ポーターが棄権した際、クロフォードが喜びを爆発させていたのとは対照的に、スペンスに勝利したクロフォードがえらく冷静だったのが印象的だった。
スペンスとの対戦が長年実現しなかったものの、彼がスペンスよりも強いということを心底確証していたのならあのような反応になるのかと思った。
ただ、あまりにもワンサイドだったため、再戦は必要ないのではという声もあるが、スペンスに何らかのトラブルがあったのではないかという声もある。
再戦が実現すれば、スーパーウェルター級での試合となるかもしれないが、いまだにクロフォードが一方的に勝ったこと信じがたいため、ぜひともまた戦ってほしい。